明確なゴール設定のある治療
矯正歯科治療を行う上で大切な事はゴール地点の設定です。
一般的にゴールは全ての永久歯をしっかり咬ませ、機能的にも審美的にも調和のとれた状態を目標と定めます。
この全ての永久歯をしっかり咬合させる考えのもとで治療を行うのであれば、最終的に咬ませる永久歯が生えてない乳歯列や混合歯列期時点で治療を開始する意義は有るのでしょうか?
混合歯列期の治療の主な目的
1 不可逆的な変化に対する予防的介入
- 歯の破折や歯肉の退縮など著明な咬合性外傷がある
- 交叉咬合や反対咬合などにより下顎の偏位を招いている
- 萌出方向異常などにより、他の永久歯に対して根吸収などの問題を引き起こすおそれがある
2 顎整形力や機能的矯正装置の使用
顎骨の成長が盛んな時期に上下顎の成長をコントロールしておきたい場合があります。
このような治療を顎整形力といい、矯正装置としては、上顎前方牽引装置、顎の拡大装置、機能的矯正装置としてアクチバートル、バイオネーター等が代表的な例です。顎整形力や機能力は、成長発育のコントロールや、成長発育を利用する治療となります。この顎整形力を治療に用いる場合には、症例を見極め将来を予測した長期に及ぶ治療計画をしっかり立てたうえでの治療が望ましいといえます。
3 悪習癖の除去
4 強いコンプレックスを抱き,早期にわずかでも改善したい
年齢に応じて起こりやすい
不正咬合と注意点
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1 歳 6 ヵ月児、2 歳児
咬み合わせの再現性が乏しい時期です。
この年齢で反対咬合などが認められる場合でも、自然に改善される例もあり、一般的に積極的な治療の介入は行わず、状況について保護者様にご説明し、経過観察します。
舌小帯に強度な付着異常があり、舌運動に制限があれば、保護者様に説明します。
おしゃぶり、哺乳瓶、指しゃぶりなどの問題と、現在の咬合状況の因果関係が明らかに認められる場合には、習癖についての問題点を説明します。 -
3 歳児
乳歯列が完成している時期で、不正咬合の種類によってはその顕在化が見られます。
経過観察や今後考えられる変化の説明が中心となります。
ただし反対咬合や偏位咬合などの骨格的不正、機能障害の状態が認められる場合には、早期治療を必要とすることがあります。
舌小帯付着異常、吸指癖等の有無を確認し、問題が認められる場合は保護者様に説明します。
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治療開始の時期について
治療開始の時期は症例によって様々ですが、場合によって、早期の治療が必要なこともあります。
また、相談をしたら必ず矯正歯科治療を開始しなければならないということはありませんので、まずは一度、カウンセリングにいらしてみてください。